2026年9月6日礼拝「その男は、あなただ」

サムエル記下12 章1-15a 節

あなたはヘト人ウリヤを剣にかけ、その妻を奪って自分の妻とした。ウリヤをアンモン人の剣で殺したのはあなただ。(サム下12:9)

2025 年2 月、米国トランプ大統領はICC 国際刑事裁判所に関係する人物への制裁を命じました。米国や同盟国の人間に対するICC の捜査や逮捕状を「正当な根拠のないもの」と批判してのことです。さらに2026 年7 月には、ルビオ米国務長官がICC を「解体する」方針を公に表明し、2026 年8 月には赤根智子所長らに制裁を科し、圧力を加えています。「国際的な法の秩序と支配」を根底から損なわせてしまう暴挙です。
「王を裁く者がいてはいけない」のでしょうか。また「自分たちだけは、裁かれる必要がない」と言うことのできる国家や人間が存在して良いでしょうか。いいえ、すべての人間、あらゆる存在は、必ずどこかで、「裁き」の前に立たなければなりません。
権力を欲しいままにし、もはや誰も自分を諫める者がいない「危険な状態」の中、ダビデは悪辣な罪を犯してしまいます。部下ウリヤが出兵している間に、その妻バテシェバを寝取って懐妊させ、その事実の偽装・隠蔽を企てた挙げ句に、ウリヤを激戦地で戦死させるのです。貪りとごまかし、そして人に知られぬ殺人。それを易々とやってのける人間。ダビデはそんな王になっていました。
バテシェバを宮殿の自分のもとに呼び寄せることで、この一件は落着したかのようでした。しかし、そうはいきませんでした。預言者ウリヤがダビデのもとにやってきて、一つの謎めいた悲劇話を聞かせるのです。二人の人物の話です。「たいそう裕福な男が、客をもてなすのに自分の家畜を屠るのを惜しみ、隣に住む貧しい男の小羊-その人が娘のように可愛がっていた小羊-を横取りして、屠って興じた」という話です。ダビデはこの話を聞いて激怒し、「そんな男は死罪にしてしまえ」といきり立ちます。しかし、そこでナタンはダビデに向かって言い放ちます。「その男は、あなただ」と。
ナタンの声は、誰も手を出せず、誰も裁くことのできない絶大な権力者を、「その男」へとしっかりと引き下げます。「あなたは、裁かれることのない王ではなく、裁かれなければならない一人の男でしかないのだ」と。こうしてダビデは「貪りと人殺し」の罪とその裁きを消し去ることはできずに生きていくしかない人間として描かれていくことになります。またエルサレム陥落とバビロン捕囚の原因に深くかかわるイスラエルの姿と関連づけられ、ダビデは後々まで(今日に至るまで)、記憶されていくこととなります。吉髙叶

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