2023年8月20日礼拝「ノアの物語」

創世記6 章5-22 節

これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。(創世記6:9)

今日の聖書テキストは、2011 年3 月11 日以降を生きており、世界中でも多くの洪水が起こっていることをしらされているわたしたちにとって、ほんとうに受けとめにくい物語です。
また、キリスト教界の中には、ヘブライ語聖書(旧約聖書)にあらわされる「神」は「裁きの神」「怖い神」であり、キリスト教証言書(新約聖書)にあらわされる「神」は「愛の神」「優しい神」であるというふうに言われることがありますが、それを裏付けるもののうちの1 つとしてこの「ノアの物語」があげられていると思います。このノアの物語には下敷きとなった物語があります。現存している世界最古の文学作品と言われている「ギルガメシュ叙事詩」です。これは古代メソポタミア文明の中で編まれました。最終的には粘土板に楔型文字で書き込まれたものが、「世界最古」と言われています。この粘土板は12 枚あり、その11 枚目に「洪水物語」があります。ギルガメシュ叙事詩も、聖書のさまざまな物語と同じように古代の人々が口伝えにつないでいった物語の1 つです。ノアの物語を口伝え、編んでいった人たちは、編集当時、バビロニアに支配されていましたし(「バビロン捕囚」)、もともとメソポタミアは近隣の文化のうちの1 つですから、ギルガメシュ叙事詩を聞いて知っており、それを自分たちの物語として語り直しました。
5 節からの物語には「主」が「地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、地上に人を造ったことを後悔し」、すべての生きているものを「地上からぬぐい去ろう」と決意したと書かれています。その中でノアだけは「主の好意を得た」と書かれています。9 節からの物語にはノアは「神に従う無垢な人」「神と共に歩んだ」と書かれ、「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている」となっています。いずれの物語も「神(もしくは主)の決意」と「ノアの選び」を描いています。
人々はたびたび起こる「洪水」をどのように受け止めていたのでしょうか。またなぜ、ノアが神から選ばれたと書かれているのでしょうか。今を生きるわたしたちは、この古代の物語をどのように考えていくことができるでしょうか。そしてどのように受けとめていくことができるでしょうか。(臼井一美)

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